top of page

上皇陛下は八十九歳に、続く御研究


【日本報道】 上皇陛下(癸酉)は、皇紀二六八六(令和四)年十二月二十三日に八十九歳になられた。


同日に宮内庁・上皇職は『上皇陛下のご近況について(御誕生日に際し)』を公表した。


上皇陛下は一昨年に東京・高輪「仙洞仮御所」へ御移居され、本年四月に赤坂「仙洞御所(旧・赤坂御所)」へ御入居になられた。


上皇陛下は、本年もまたコロナ禍により、六月「沖縄復帰五十年記念特別展『琉球』」、「同・公文書で辿る沖縄の日本復帰」、十二月「ある皇族の百年―三笠宮崇仁親王とその時代―/学習院大学」を御覧になった他、外への御出ましはなかった

※ 「東京大学」医学部附属病院・皇居内の宮内庁病院・生物学研究所を除く



<御日課>


 これまでと同様に陛下は、上皇后陛下(甲戌)と静かに穏やかな日々を規則正しく御過ごしに成られている。以下が主なルーティン。


  1. (起床後)上皇后陛下と御散策@御庭

  2. 「チチブハゼ」に餌を御与えに@食堂の水槽

  3. (七時)朝食:TVニュース

  4. 新聞に目を通され、上皇后陛下と本を音読

  5. (九時)御日程・皇室全体の御動静の説明:国内外で発生している出来事も。上皇后陛下と

  6. (月・金の午前午後)皇居生物学研究所、(水・午前)仙洞御所:「ハゼ科魚類」の分類に関する研究。国内外の論文確認等。隔月開催「魚類分類研究会のオンライン会合」へ可能な限り御参加

  7. (御研究が無い日の午前)録画TV番組の御視聴:日本や世界各地の歴史、文化、自然等。上皇后陛下と

  8. (夕方)上皇后陛下と御散策@赤坂御用地内

  9. 御歓談:上皇后陛下と御供した職員と

  10. (御夕餐後)侍従が御話を伺う:初の英国御訪問等の国内外の御訪問について。当時の記録集を見ながら


東宮時代からこれまでにモンテーニュの「随想録」、パスカルの「パンセ」、堀辰雄の「大和路・信濃路」、寺田寅彦の随筆等を上皇后陛下と御一緒に読んでこられた。最近は、両陛下が共に「小学生五年時に学ばれた国語(戦中)」の教科書を読み返していらっしゃる。



御体調

 六月頃から体重がやや増加。血液検査の「BNP値」が上昇。七月に「三尖弁閉鎖不全による右心不全」と診断。その後、薬の服用・水分の摂取制限・御運動を控えめにするといった内科的治療をお続けになられた結果、報道現在では「右心不全」の所見は改善されつつある。


九月には左眼の「白内障手術」、右眼の「白内障及び緑内障の手術」を御受けになられ、術後の経過は良好。


『宮中祭祀』が行われる間、両陛下は静かに御慎みになっていらっしゃる。本年も新嘗祭に際し、両陛下は天皇陛下(庚子)の出御(シュツギョ)に合わせて御慎みの時を過ごされ、「暁の儀」が終了する深夜まで御慎みになられた。



上皇后陛下の御歌


 「沖縄県慰霊の日」「広島・長崎原爆の日」「終戦記念日」「阪神淡路大震災及び東日本大震災の発生日」には、上皇后陛下と共にTV中継に合わせて黙祷をなさった。


戦争を振り返る御話もあった。二六三四(昭和四十九)年に上皇后陛下は、当時、上皇陛下が東京都小金井市で御過ごしになった頃の思い出をお聴きになり、「麦の穂」と題して以下の御歌(オウタ)をお詠みになっている。

思ひゑがく 小金井の里 麦の穂揺れ 少年の日の君 立ち給ふ


本年九月には、英国エリザベス二世女王陛下(丙寅)が崩御され、深い御悲しみの内に、女王陛下の戴冠式御参列以来・六十九年間に及ぶ御交流を思い起こされ、これまでの御親交に感謝なさりつつ、御冥福を御祈りになっていらっしゃった。



御研究

 上皇陛下は、生物学研究所職員と二つの課題にお取組みになられている。一つは、生息域が重複する「チチブ」と「ヌマチチブ」につき、それぞれの鰾(ウキブクロ)の形状や鰭(ヒレ)の動きと遊泳行動の関係を明らかにし、同一水系内で棲み分けている両種の生息環境の違いを確認する為の御研究。


これまでの標本や水槽遊泳を対象とする「形質的観察」に加え、他の研究者の「CTスキャン骨格解析」の結果も御採り入れになられる等、研究手法を御広げになられている。


二つ目は、日本産「クモハゼ属」の分類学的研究。二六四〇(昭和五十)年に上皇陛下は、共著者との論文「日本で採集されたクモハゼ属 Bathygobius 6種について」魚類学雑誌 27巻 3号)」にてクモハゼ属を分類する為の特徴的な体形質を御抽出なされ、その六種を御分類なされた。


その後、新たに四種のクモハゼ属が日本に分布している事が確認された。この為、新四種を含め、当時に上皇陛下が発表なった体形質上の分類指標が、尚有効であるかを確認する為の御研究を鋭意なさっておられる。

九十歳の「卒寿」を前にしても、上皇陛下の知的探求は続く。


 

御影(御影):宮内庁

bottom of page